経済・政治・国際

2015.10.03

シリア難民の件

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シリア難民の件。安倍首相の記者会見での発言はなんとも残念なものだった。

生きるか死ぬかの状況で一般市民が止むに止まれず逃げ出している状況を自国の人口問題として捉えるのもどうかと思うし、内政を優先するというのもあそこで言う答えではない。首相の発言は失敗だった。

ただ、あの場面で、どう答えるのが正解だったんだろうとは思う。制度を整備しなければ難しい中、緊急にできることとして留学生向けの制度を使い、数人だった難民受入れを数十人、数百人にします、などと真面目に言っても問題の大きさや日本経済の大きさにとっては焼け石に水で、失望された可能性が高い。多数の難民を受入れている東欧諸国を金銭的に後方支援する(追記:国連演説で言ってました)というのも意味はありそうだが、積極的平和主義で安保理常任理事国入りを目指すという国にしては物足りないという評価になりそう。

でもそのくらいで逃げるのが良かったのかなぁ。合格点はもらえないけれど、大きな非難にはならないというくらいが現実的なところだったのだろうか。

アメリカやカナダ、中国、韓国、インドといった、日本政府が意識しそうな先進国・大国の対応を詳しく知らないので、これ以上はなんとも言えないけど、そんなことが、気になった。

2015.02.03

政治資金収支報告書はスキャン画像ではなく数値データとして公開を

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統一地方選挙に向けて、オープンデータのネタって何かないですかと聞かれたので1つ提案をしておきます。もともとは政府のオープンデータアイデアボックスに提案したものだったんだけど、特に何も動きがないので、改めて提案する次第。

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総務省のウェブサイトに「政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書」というページがあります。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/

ここでデジタルデータとして作成されたものがスキャン画像として公開されていることに疑問を感じます。画像ではなく数値データとして公開し、国民やメディア、研究者等が容易に分析等できるようにすべきではないでしょうか。

そもそも収支報告書の多くは、総務省が配布している収支報告書作成ソフトで作成されているとみられます。

「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」は、平成20年度に2件、平成22年度に116件しか利用されておらず、政府有数の「使われないシステム」となっています。

しかも政治資金規正法には収支報告書等のオンライン提出の努力義務が規定(19条の15)されているのですから、政党や政治団体等はオンライン提出化を進め、使い易いオープンデータの作成に協力して欲しいと思います。

※昔の自分の投稿を一部改変)

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地方議員のみなさん、公約にいかがでしょうか。

2013.09.19

原子力行政、旧日本軍、知識国家論序説

体がまだ日本時間で動いていて真夜中に起きてしまった。そこで、ちょっと前に話題になっていた泉田裕彦新潟県知事のインタビュー動画を視聴した。

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/100574

かなり長い動画なのだけれども、泉田知事が問題をどう理解し何に抵抗しているのかがよく分かるのでおすすめ。僕にとって最も興味深かったのは、最後の方で出てくる、原子力行政と旧日本軍の組織体質が似ているという話だ。

高性能の兵器/原発を作り、高度な技能で運用するのはいいけれども、それが攻撃されたり失敗したりした時のことを真剣に検討せず、失敗から生まれた知をフィードバックして学習することをしない。意思決定過程やその責任を検証せず、「総懺悔」で曖昧にしてしまう。そんな話だった。そういえば、喉元過ぎれば熱さを忘れて、楽観的な積極論が非論理的に好まれてしまうのも同じかもしれない。

泉田さんには10年以上前、僕が行き場のない研究者志望の学生だった頃から、なんとかGLOCOM研究員になったばかりの頃にかけて、いくつかのプロジェクトや研究会でご一緒させていただきお世話になった。

何もわかっていなかった僕のインタビューに答えていただいたり、野中郁次郎氏らとの共著書「知識国家論序説」でたくさん勉強させていただいたりした。(なつかしーー)

 情報社会の政策形成と政策プラットフォーム
  泉田裕彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)
  庄司昌彦(GLOCOM研究員)
  http://www.glocom.ac.jp/project/chijo/2003_06/2003_06_18_02.html

 『知識国家論序説』(野中郁次郎、泉田裕彦、永田晃也 編著)
  http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/03030004.html
 
 僕の「知識国家論序説」読書会(講師は山内康英GLOCOM教授(当時))レポート
  http://www.glocom.ac.jp/project/chijo/2003_08/2003_08_19.pdf

インタビュー動画に話を戻すと、この中で知事は、新潟県は原子力行政や経営のありかたについて新潟県は独自の委員会を作って検証作業を行っていると述べている。

 新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会
  http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/945/110/gijyutuiinkai_youkou,0.pdf

委員名簿を見ると、なんとここに野中郁次郎先生のお名前が。また、「知識国家論序説」でも執筆をし、僕のGLOCOMでの最初の上司である山内さんのお名前も。山内さんは委員会名簿では担当分野が災害情報伝達となっているけど、それだけではなく冷戦後の核不拡散政策や日本のエネルギー安全保障といった問題にも関わってきた方だ。

そんなことが芋づる式につながって、深夜に一人で興奮したというお話でした。おしまい。

2012.07.08

「電子行政オープンデータ戦略」を具体化していくために

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電子行政オープンデータ戦略ができ、首相のコメントがあったことで、オープンデータは議論から実践フェーズに入ったといっていいだろう。追い風が吹いているのは本当に喜ばしい。

だけど、アイディアソン/ハッカソンをやってみて分かってきた課題もある。

「フューチャーセンター・セッション」+「アイディアソン」+「ハッカソン」

この手法は有効だと思う。色んな人を集めてダイアログをするとアイディアは出るし、エンジニアを交えることでプロトタイプを作るところまでいくことができる。エンジニア側から見ると、具体的な課題への理解が深い人や、多様な視点や長所を持った人々と一緒に作業することで、より実際のニーズに即した良いものを作ることができる。

これは今までにない経験で、とても高揚するし参加者の満足度が高い。しかも素晴らしいアウトプットが出来上がる。ぜひ、色いろなところで実践してみて欲しい。

ただし。

ではそれを誰が、どのように使えるサービスまで育てるのか、というところで大きな壁があるということも見えてきた。

そういう意味では、コンテストを開催して優秀作のビジネス化を支援していくとか、行政が実際の制度と連携できるよう改良にコミットするとか、もう一段先の仕掛けを考えていく必要がありそうだ。

昨年訪問したデンマーク政府の「イノベーションキャンプ」では、現行の年金受給者向けオンラインサービス等のユーザビリティを高めるための開発競争をチーム対抗で行なっていたが、その成果は(すぐさま反映する訳ではないが)サイトの見直しの際に反映するとのことだった。職員が参加しているどころか大臣まで顔を出していたのだから、おそらくそれは間違いないだろう。

行政がコミットすること(行政にコミットしてもらうこと)。やりっ放しにしないこと。この点が、先日の自分のようなディレクター的役割には注意点であるように思われる。


※写真は、先日訪問したスウェーデンの国会議事堂。

2012.07.07

電子行政オープンデータ戦略

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2010年9月、思いがけず政府のIT戦略本部・電子行政タスクフォースに構成員として参加させていただくことになって以来、最も力を入れてきた分野がオープンガバメント。政府のIT戦略(「新たな情報通信技術戦略」)は、

2013年までに、個人情報の保護に配慮した上で、2次利用可能な形で行政情報を公開し、原則としてすべてインターネットで容易に入手することを可能にし、国民がオープンガバメントを実感できるようにする。

と謳っている。
この公共データ活用(オープンデータ)について、様々な人々と、多くの時間をかけて議論や勉強を重ねてきた。そしてついにその成果が、「電子行政オープンデータ戦略」としてまとまった。

電子行政オープンデータ戦略(平成24年7月4日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)

そして、野田総理が次のようにコメントをした。

電子行政オープンデータ戦略については、行政の透明性・信頼性向上、新市場創出による経済活性化などの観点からこれもまた非常に重要でございます。今後、この戦略に基づき、公共データを積極的に公開し、その活用を促進するための具体的な方策を検討していただきたいと思います。関係大臣においては、所管するデータの公開について、積極的にご協力いただきますようにお願いいたします

…涙が出そうだ。
関係者の皆さんに本当に感謝している。ありがとうございます。

しかし。
これはまだメッセージ性の強い宣言であって第一歩に過ぎない。総理が述べているように、今後の取組みが重要である。オープンデータは実践フェーズに入ったということで、さらに取組みを続けていきたいと思う。

2012.03.10

IT戦略本部が動き出した

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昨日、IT戦略本部のリアル会合(持ち回りでない)が約2年ぶりに開催された。有識者として伊藤穣一さん、村井純先生、野原佐和子さん等が新たに加わった。今年度のなるべく早い時期に準備組織を立ち上げようとされていたのに遅れに遅れていた「政府CIO」について検討する会議も設置された。誰だか知らないが中の人が頑張ってるようで、これまで進まなかったIT政策が進むのではないかと期待したい。

(たった10分の会議なので恐らく実際の議論はされてないと思うが)
資料を見ると村井本部員、野原本部員、矢野本部員、経済産業省がともに政府・公共データ利活用に言及しているのも注目される。公共データの活用を進めることで、(1)行政の効率化・高度化と、(2)政策評価など民主主義の向上、そして(3)新たなビジネスや社会サービスの創出が期待される。

それから、新設の「政府情報システム刷新有識者会議」は、行革本部とIT戦略本部の連携の下で政府システムの統合集約や政府CIO等を議論する。行政の業務改革のためにITを使うという話は、電子行政TFで何度も言い続けてきたことだ(議事録を見れば、行政刷新会議と連携すべき、と僕が何度も言っているはず。でも一度も行政刷新会議は呼ばれなかった)。それが実現する。ただ、電子行政TFではなく別の会議を新たに立ち上げることになったのは残念だが、改革の進展を期待したい。



上の表は、これまでのIT戦略本部の開催実績と担当大臣名・任期。IT担当大臣は約11年半で17人。自民党政権下ではだんだん重要閣僚の兼務から「たくさん兼務する大臣」の担当へと移行していくのがわかる。また、政府の予算検討のサイクルを一年間通しで担当した大臣はほとんどいないことや、IT戦略本部の会合はだんだん開催間隔が空いていくことも分かる。

2012.01.31

オープンデータを進めたい

091005_0122※写真は南紀白浜

IT戦略本部の電子行政タスクフォースに出席した。
今回のテーマはオープンガバメント。

今年のオープンガバメントの議論は、世界各国政府の政策動向や、東日本大震災で東京電力の電力使用量データや文部科学省の放射線量データが民間に有効活用されたことを踏まえ、公共性の高い情報(Public Sector Information)の有効活用、言い換えればオープンデータ/オープンガバメントデータの活用についての議論に力が入っている。

オープンデータ政策は、データを有効活用することで民間に新たな機会を生み出し、行政を効率化し、また政策議論をデータに基づいたものへと進化させる可能性を持っている。英国や米国をはじめとする欧米各国が進めているだけではなく、最近は中東やアフリカでも積極的に取組む国が出てきている。しかし残念ながら日本では、国を挙げた取り組みにはなっていない。

※オープンデータ政策の内容や具体例は、『行政&情報システム』誌の連載「行政情報化新時代」で「政府保有データの有効活用を考える」というタイトルで紹介した。

『行政&情報システム』 2011年 12月号 目次
http://www.iais.or.jp/ja/wp-content/uploads/2011/12/mokuji-12.pdf

日本の事例として紹介できるのはたとえば、

経済産業省のデータBox
http://databox.openlabs.go.jp/

福井県鯖江市のDataシティさばえ(XML化の推進)
http://w.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11552


あたりだろうと思う。鯖江は、(オープンデータの活用ではないが)アプリケーション開発コンテストも開催するなど、非常に積極的で興味深い。

そしてタスクフォースの議論だが、一部の構成員から、「税金で作ったデータをオープンにして、外国人・外国企業に彼らのために使われるのはいかがなのものか」という提起がなされた。そしてそれに対して「そうだそうだ」という議論の流れになっていってしまったことから、私は「私は基本認識がちがう」として次のようなコメントをした。

「「税金で作ったデータをオープンにして、外国人・外国企業に彼らのために使われるのはいかがなのものか」という話がされているが、そうした扱いが必要なのは一部のデータにすぎないのではないか。基本認識としてはそれよりも、税金で作ったデータが国民のために有効活用されていないという見方にたって議論をするべきだ」

と主張した。口調がちょっと熱くなってしまっていたようで、後である方から、「オープンガバメントのところで吠えてましたね」と言われてしまった(汗)。

2012.01.18

新しい政策メディアにはハッカーとデザイナーとアーティストを

P1020203_2※写真は北京の798芸術区


先日、『政策空間』拡大編集会議がGLOCOMで行われた。ひさしぶりに色々な人が集まって、(私にとっては初めてのかたもたくさんいて)盛り上がった。話題も、東浩紀さんの「一般意志2.0」についてがかなりの時間を占めるなど、色んな話題がでて盛り上がった。

一般意志2.0の話は収束しなかったが、参加者は、ネット政策メディアの先駆けである『政策空間』を再び盛り上げていこうということは確認した。そして、しばらく編集部から外れていたけれども、僕も再び何らかのお手伝いをしていこうと思った。特に、公共データ活用など、オープンガバメント/Gov2.0に関わる実践をする場として政策空間を活用していきたい、という話をした。

政府が公開する公共データを活用して、節電や放射線アプリのような公共アプリの開発を活性化したり、データに基づいた政策議論やインフォグラフィックによる表現を活性化したりする。これからの政策メディアには、そういうオープンガバメント/Gov2.0の拠点になって欲しい。

だから、僕が関わりたいと思っているこれからの政策メディアには、ハッカーとデザイナーの協力が欠かせないと思う。いや、協力をお願いしたいのは、「デザイナーでありアーティストであるような人」なのかもしれない。たとえば「次の衆院選までに公職選挙法を改正してネット選挙を実現したい」というときに、単に論文を集めてネットに並べるだけでは力にならないと思うのだ。何か、インパクトのある表現をしてみたい。

2011.12.26

民主主義はマイクロな自前主義へ?

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一昔前なら多額の投資や大組織を必要としたようなことを個人や小組織でもできるようになった。動画を世界に配信するということは、以前はテレビ局ぐらいにしか出来なかったことだが、いまや僕のような個人であっても、手元のスマートフォンから今すぐ始めることができる。このような「エンパワーメント」は、情報社会化の意義の中でも最も大きなもののひとつだ。

情報社会化の影響を政治の文脈で考える時にも、この「エンパワーメント」は、権力関係に大きな影響を与える重要概念だと思われる。そして、個人や小組織が強くなることによって、民主主義は「マイクロな自前主義」に向かうと考えるべきではないかと思う。

2011年に世界を揺さぶった「ジャスミン」等の中東革命やオキュパイ行動は、まさにこのITが一定の役割を果たし、マイクロな自前主義が支えていた。また、日本に限らずシェアハウスやシェアオフィス/コワーキング志向が強まっている。その背景にも、マイクロな自前民主主義があると思われる。

そしてこのようなマイクロ自前主義的活動が活性化した主な要因としては、通信回線や データセンター、端末といった物理インフラから、コミュニケーションや課金等の機能、アプリケーション開発環境、果てはコンテンツに至るまでの活動基盤 が、大幅に低価格化したことが挙げられる。情報化のグローバル化やクラウド化の恩恵ともいえる。  

…こんなことを最近考えています。
続きはいずれ。


2009.10.08

「ICT、社会変革、オープンなネット参加~オバマ政権の構想と日本の可能性~」

2005年以来、4年ぶりにGLOCOMが開催する大きなイベント「GLOCOMフォーラム」の告知です。

テーマは「ICT、社会変革、オープンなネット参加~オバマ政権の構想と日本の可能性~」です。私は今回、運営面の責任者を務めているので登壇はしませんが、6月の米国出張で見て感じた日本のネット利用に関する私の問題意識も反映されています。

残席がわずかとなってきました。
参加をご希望の方は公式サイトよりお申込みください。


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国際大学GLOCOM(グローバルコミュニケーションセンター:港区)は、来る10月20日(火)に青山ダイヤモンドホールにて「GLOCOMフォーラム2009」を開催いたします。ICTに関わる日米の経営者、研究者として第一線でご活躍の識者にお集まりいただき、日本が抱えるネット利用の課題について議論いたします。

  公式サイト:
  http://www.glocom.ac.jp/gforum/

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GLOCOMフォーラム2009

ICT、社会変革、オープンなネット参加
~オバマ政権の構想と日本の可能性~
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主催:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
後援:経済産業省、総務省(申請中)
協賛:オリックス株式会社、大日本印刷株式会社、東京電力株式会社、
   日本電信電話株式会社、パナソニック株式会社、
   株式会社みずほコーポレート銀行、株式会社リコー、ほか調整中(10月5日現在)
個人協賛:伊藤穰一
協力:株式会社富士通研究所
日時:2009年10月20日(火)13:30~17:30
会場:青山ダイヤモンドホール
東京都港区北青山3-6-8 (表参道駅:B5出口(銀座線・半蔵門線・千代田線))

参加費:無料
定員:合計250名(※応募多数の場合には抽選となります)

言語:日本語・英語(日英の同時通訳が付きます。)

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■開催趣旨■

情報通信技術(ICT)は、生産性の向上や国際競争力の強化をもたらし、社会や組織の変革の鍵になる可能性をもっている。

日本はブロードバンドインフラの面では世界最先端であり、娯楽性の高い優れたサービスがあるが、ビジネスや社会の大きな変革につながるようなICTの活用は進んでいない。本フォーラムでは、オバマ政権の大胆なICT活用や日本の先駆的なネット事業にヒントを得て、日本の組織・社会においてICTの可能性を引き出して国際競争力を高めるシナリオを探る。

米国に誕生したオバマ政権は、選挙戦のツールとして ICTを最大限に利用したことで知られるが、同時に、経済復興などの政策立案でも大胆にウェブを活用し、政策形成における透明性の向上や活発な市民参加に取り組んでいる。また、ネット上で専門家が交わすメディア産業やネット企業に関する議論は、報道などを経由しながら企業の経営判断を左右する影響力をもち始めている。

このように米国では、ネット上のオープンな議論やアイデアが経営や政策上の意思決定を直接左右するという構図が次第に成立しつつある。これは、米国に新しい競争力をもたらすものになるのだろうか。

翻って日本では、娯楽や生活のための優れたツールはあるものの、政治やビジネス分野でのインターネットが果たす役割は限られている。企業へのICTの導入には組織や業務の見直しと併せた実施が有効だが、日本はそのような取り組みが少ないとされる。インターネットを理解し、活用できることがキャリアや経営判断に役立つ度合い
や、社会的に評価される度合いも限られている。長期雇用の下では情報発信をするよりも社内での評判が重要になる、といった制度的要因、公の場での議論が必ずしも歓迎されない風土などもある。これらは、日本がこれからもICTの可能性を活かしきれないことを示唆しているのだろうか。

あるいは、日本独自のICT活用の可能性があるのだろうか。例えばICTでも対人コミュニケーションに関わらない交通システムや電力配送などの分野への活用による高度化も近年注目を浴びている。こうした分野での日本の成長を軸に日本の国際競争力の強化を狙えるだろうか。その実現のために、経営者やビジネスパーソン、市民や政府は何をするべきなのか。

本フォーラムではICTに関わる経営者、研究者として第一線で活躍している識者を招き、日本に必要なICT活用と、そのための制度・意識の変革の課題を論じる。
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■プログラム■

(開場13:00)

13:30 開会挨拶:
 宮原明(学校法人国際大学副理事長兼国際大学GLOCOM所長)

13:40~14:40 オープニング対談:
「オープンな議論、オープンなイノベーション、インターネットの役割」
 ケビン・ワーバック(ペンシルバニア大学ウォートンスクール助教授、国際大学GLOCOMフェロー)
 関口和一(日本経済新聞社編集局産業部編集委員兼論説委員、国際大学GLOCOM客員教授)

14:40~15:40講演:
 夏野剛(慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授)

(15:40~16:00 休憩)

16:00~17:30パネル討論:
「日本のICT活用のシナリオ:制度、組織、文化からの検討」
 ケビン・ワーバック(ペンシルバニア大学ウォートンスクール助教授、国際大学GLOCOMフェロー)
 夏野剛(慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授)
 津田大介(メディアジャーナリスト)
 石黒不二代(ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO)
 木村忠正(東京大学大学院総合文化研究科准教授、国際大学GLOCOM客員研究員)

 司会:渡辺智暁(国際大学GLOCOM主任研究員)

17:30 閉会挨拶:
 小林陽太郎(学校法人国際大学理事長)

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■お問合わせ先■

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
GLOCOMフォーラム事務局 担当:上村、庄司、仁平

TEL:03-5411-6676
FAX:03-5412-7111
E-Mail:gforum2009[at]glocom.ac.jp

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