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2011年5月

2011.05.29

やっぱり気になる「隣人祭り」

地域SNSの研究の途中で出会った「隣人祭り」という活動がある。

近所に住む人々同士が誘い合い、アパートの中庭などで食事を共にするという「祭り」によってコミュニケーションを深める、というとてもシンプルな取り組みだ。パリの17区でアタナーズ・ペリファン氏が始めたものが、次第に広がり、いまや34カ国1400都市で、950万人もの人々が参加するイベントに成長している(※1)。

※1 欧州委員会も支援しており、European Neighbors' Dayと呼ばれている。

日本では、南谷桂子氏がペリファン氏と著した『隣人祭り(ソトコト新書)』が出版された2008年頃から国内で広がっている。たとえばソトコトが日本支部を支援してたり、無印良品がやってたりする。

私はこの本を読んで、地域社会で人と人のつながりを生み出したり、強化したりする取り組みとして隣人祭りのは地域SNSと通じるところがあると感じた。地域SNSはネット上のコミュニケーションであるが、イベントの開催などリアルな活動に結びつくことが多く、そこにはネットを使わない人も巻き込むことができる。ネットの力と隣人祭りを組み合わせることで、より多くの人のつながりを生み出すような仕掛けができないか、と考えたのだった。そして2008年の11月にパリの本部を訪問した(※2)。

※2 2008年末にはペリファン氏が来日し、丸ビルや千代田区役所等でイベントを行った。2008年12月ペリファン氏来日関連記事(隣人祭りブログ)

隣人祭りについて話を聞き考えたことや、同じパリ17区から始まり隣人祭りとの関係が深い地域SNS「peuplade」から学んだことなどについて、その当時連載をしていた月刊「広報」(日本広報協会)のコラム( 「人をつなぐ」地域SNS ~各地の地域SNS活用術」)で、2回に渡って紹介した。

第12回 パリ市「Peuplade(ププラード)」 ―ランデブーと隣人祭り(1)
第13回 パリ市「Peuplade(ププラード)」 ―ランデブーと隣人祭り(2)

隣人祭りと地域SNSの取り組みはそれほどつながることがなく、今に至っている。しかしどうしても「その後」が気になり、私は今年の2月に再びパリを訪れ、ペリファン氏とPeupladeのナタン・シュテルン氏に話をうかがった。その調査を踏まえた原稿をいずれどこかで発表したいと考えているが、まだできあがっていない(早く書きたいんだけどついつい…)。

端的にいえば日本の地域SNS(Twitterやmixi、Facebook等を使う取り組みを含む)が基本的に、「会いに行ける生活圏内で、興味関心をベースとした人のつながり」を作り、市民活動やサークル活動的な盛り上がりをベースにしているのに対して、フランスの二人の関心は、(より狭い)「隣近所に住んでいる人同士のつながり」をどう作り、孤独死などの社会課題を改善するのか、という方向に向かっていた(そもそものきっかけがそっちの方向だったのだが、2年間でそれがよりはっきりしていた、と表現した方が正確かな)。

代表例が、隣人祭りから派生した「Voisins solidaires(近所の連帯)」という取り組みである。隣人祭りは年に1度のパーティだが、Voisins solidairesは色々な企業と組んだり、テーマを設定したり、さまざまな工夫をして近所同士のつながりを作りだそうとするもので、その取り組みの「うまさ」に非常に感心したのだった(詳しくはまた今度…たぶん)。


そして、そんな隣人祭りについて新しいニュースが入ってきた。隣人祭りに関していつもお世話になっている南谷桂子さんからいただいたメールとブログによると、仙台の隣人祭りがSkypeによってパリとつながり、仙台市長とペリファン氏がコメントを交わしあったのだそうだ。東北の地域コミュニティの復興には近所関係から人をつなぎ直していくという丁寧な取り組みとボトムアップな力が必要で、そこでやはり、隣人祭りが参考になるのではないかと改めて思った。しかも、常に前向きでエネルギッシュなペリファン氏が、直接被災地とつながったことがとても嬉しかった。

※↓は、仙台とパリの隣人祭りの対話の映像(フランスTF1のニュース)。「最後はシャンパンでカンパーイ!とぺリファンさんが勢いよく抜栓したところ、そのシャンパンがなんとPCに流れ込んでスカイプ交信は一時中断(南谷氏)」というハプニングがばっちり映ってる(笑)。