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2008年7月

2008.07.16

NHKニュースに出演した話

7月14日の「NHKニュースウォッチ9」にコメント出演しました。しゃべり慣れているSNSの話題ではなかったせいで、ガッチガチに緊張してしまいました。それが恥ずかしくてほとんど誰にも言ってませんでした(見た人います?)。

放送されたのはたぶん15秒くらいで、うまく編集してくれたので違和感は無かったんですが、いかんせん時間が短かすぎました。背景にはいちおうこういうことを考えていたんです、ということを文字にしておきます(長いです)。

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テーマは迷惑ブログについて。
本当は、SNS内の迷惑ユーザーについて取材を受けていたのだけれども、話しているうちに私が「スパムブログも大きな問題だと思いますよ」と言ったのがきっかけでテーマがブログの話に変わってしまい、なぜか私がスパムブログについてコメントをすることになってしまったというもの。

総務省はアクティブなブログの12%がスパムブログであると発表し、ニフティは全ブログの約4割がスパムブログであると発表している。業者によっては6割がスパムであるという会社もあるという。

最近多い手口はワードサラダというもので、RSSなどを利用して適当にブログ上の実在する文章をコピーしてきて分解し、組み合わせて一見すると中身のあるようなブログを自動生成するというもの。いくつかのブログの組み合わせなので、全体を読むと全く意味が通らないのだけれども、検索エンジンはそれをスパムであると判断することができなくて、検索結果の中にはスパムブログが混ざってしまうのが問題になっている。インターネット上の情報に、意味のない情報という汚染物質が混ざってしまっているというイメージだ。

このようなブログは、明示的にアフィリエイト広告を設けているものと、アクセスした人にオークションサイトやECサイトのクッキーだけを食わせるものとがある。後者が特に悪質で、スパムブログにアクセスした人が、その後にオークションサイトやECサイトで購入をすると、ブログの内容と一切関係なくてもその紹介料をスパムブロガーは得ることができるという仕組みだ。儲けたいという側からすると、ブログを増やしてクッキーを撒き散らすほど労せずに儲ける可能性があがるということになっている。

こういう行為によって一般ユーザーは、インターネット上の有益な情報にたどり着きにくくなるという意味で被害をこうむっていることになる。つぎに、ブログ事業者は、サーバーや回線の容量を意味のないブログによって食われるという意味で大きな損害をこうむっている。4割という量は莫大な無駄だといえるだろう。そしてこれによって一般のブロガーも、ブログ事業者が本来であれば提供してくれたかもしれない設備投資や新規サービスを受けられなくなるという機会損失をこうむっていることになる。アフィリエイトという仕組みは良質なブロガーを経済的に支える基盤にもなっているので、仮にアフィリエイトが信頼を失ったり衰退したりしてしまったら、良質なブロガーは大変な損害をこうむることになってしまう。そしてもちろん、オークションやEC事業者も、本来は払う必要のない紹介料を払わされているということになる。

それでは、このような事態についてどういう対策をとっていくべきか。
NHKさんは、「政府が規制する必要は無いんですか」とまずおっしゃっていたけれども、これにはちょっと慎重になる必要があると思う。迷惑メール規制によってそういう事業者がスパムブログに流れているという可能性はあるので、迷惑メールと同様に規制をかけていくということは手段としてあり得る。しかし、ブログの場合はメールとちがってプッシュ型のサービスではなく、ユーザーがそのサイトを見に行くというプル型のサービスなので、ちょっと性質がちがうところがある。また、ブログに書かれている内容で規制をするということを考えると、人間が書いている読みにくい文章と自動生成による文章との区別がつかないだろうし、そういう規制のやり方は表現の自由などの問題に触れる可能性がある。

ここまで考えてみると、これって有害コンテンツ規制の議論と似てるな、ということに気づく。そうだとするとまずやるべきは事業者の自主的な取り組みではないだろうか。無料で誰でも気軽にいくつでもブログを作れるということが、この問題の背景にあるわけだから、ブログ事業者の側で規約を見直して悪質なスパムブロガーを排除する取り組みを強めるとか、投稿内容や頻度、クッキーの仕掛け状況などから技術的にスパムブロガーを検出するとか、ユーザーからの通報をもっと受け付けやすくするとか、そういうことはもっとできるだろうし、強化して欲しい。個人的にブログ事業者に聞いたところ、すでにそういう手を打ちつつあるようだけれども、社会的メッセージという意味もこめて政府が事業者に対策強化を依頼するというのはアリかもしれない。あとは、ユーザーのリテラシー問題だろう。インターネットの仕組みにただ乗りして楽して儲けようということを非難する文化、スパムブログにアクセスせず、悪質サイトに儲けさせない文化を作っていくことが大事ではないだろうか。
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