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2008.06.02

コンテンツ規制と議員立法のプロセス

子供が利用する携帯電話コンテンツを規制しようという法案を、自民党・民主党などが検討している。今国会中に議員立法で成立させるためには、今週中に与野党が細部まで合意できるかどうかが焦点になる。「日本のデジタル社会を潰す「ネット有害情報規制法案」に反対する」の声明に賛同者として名前を連ねているように、私はこの法案(自民党案)に反対の立場だ。

フィルターされる「有害情報」とは何かということを、国の影響下にある機関が判断するのは、恣意的な運用によって実質的な検閲となるおそれがあり、強い萎縮効果が懸念される。国はこのような直接的な規制を行うよりも先に、事業者の自主規制や子供に対するリテラシー教育の促進をするべきだ。小中学校の情報リテラシー教育や社会生活のための教育は見直されるべきではないのか。また、どのような情報環境を子供に与えるかということは、子供にテレビやゲームやマンガをどれだけ見させるかということや、子供の外出をどこまで認めるのかということと同様に、第一に保護者が判断するべき問題であって、そこに国が関与するのであれば、親の判断や管理を支援するようなものであるべきだ。

ところで、この問題の議論を通じて、議員立法法案の立法プロセスの課題が浮き彫りになったように感じる。中央省庁での検討を経て提出される内閣提出法案は、かなりの時間をかけて検討され、その途中では膨大な資料が作成され公開される。国民からの意見募集なども行われる。

しかし、今回のような議員立法によるものは、各党の機関で議論され、その資料は公開されることがない。与野党が合意した上で法案が国会に提出されるとしたら、突然、完成形の法案が出てきて、国会ではたいした議論も行われずに、あっという間に成立してしまうことになる。

今回の法案に関しても、公開情報はほとんどないに等しい。議員スタッフやメディア関係者、あるいはロビイスト的な人達が非公式に情報を流しているので、私も、たまたま知人のつてでいろいろな情報を入手することができたけれど、議員立法されようとしている政策について、その是非や費用対効果、因果関係などを議論しようにも材料が少ないのだ。

立法は立法府の仕事であるから、議員立法で法律が作られること自体は否定するべきことではない。けれども、政策サークルに入っている人達だけで議論が進むのは望ましいことではない。議員立法についてももっと透明性を高めることはできないだろうか。

コンテンツフィルタリングと子供の非行や性犯罪について、どれだけのコストを投入してどれだけの効果を得ようとしているのかという目標や費用対効果、コストの負担者、効果を得るための因果関係、といったことを明確にしたうえで立法がされるべきではないだろうか。政策研究と立法過程を結びつける必要性を強く感じる。

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