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2007.12.02

増殖する米国の地方自治体

先日、「社会情報学会」の研究会で「日本の地域社会におけるコミュニティガバナンス ー実践・課題・展望ー」という発表をした際に、米国の地方自治体制度についてとても面白い話を聞いた。その発表によると、近年、米国では地方自治体が「増加」しているのだそうだ。市町村合併を促して自治体を減らしている日本とはまったく逆の方向へ米国は進んでいる。

参考:米国の自治体制度
http://staff.aichi-toho.ac.jp/okabe/ronbun/jichius.html

そもそも米国の自治体というのは、住民が自治体を作ると意思表示して初めてできる、市民団体や自治組織みたいなものなのだそうだ。だから、住民がそういう合意形成をしていない地域に基礎自治体はなく、米国には自治体のない地域に住んでいる人もたくさんいる。たとえばカリフォルニア洲では、人口の 18%にあたる600万人が自治体のない地域に住んでいるそうだ。しかしそういうところに新しい自治体を作る動きが広がっている。

けれども発表を聞いていて気づいたのだが、ソーシャルキャピタル論のロバート・パットナムは2000年ごろ、米国で地域社会の崩壊が進んでいて「独りでボウリングする」ような人が増えているという指摘をしていた。その情報に基づいて日本でもソーシャルキャピタル論がブームのようになっているのだけれど、どうも事情はそう簡単ではないらしい。

ロバート・パットナム「孤独なボウリング ―米国コミュニティの崩壊と再生」
http://www.amazon.co.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AA%E3%83%9C%…

日米で自治体の人口規模を比べてみると、日本は1万人~2.5万人の自治体がもっとも多く、このあたりをピークとする山の形(正規分布)になるのに対して、米国では1000人未満という最小単位の自治体が最も多くなっている。

日本でも江戸時代には7000以上の自治体があったというけれど、その当時の自治体はおそらく米国のような数百人や数千人規模の小自治体だったはずだ。また、地域SNSもじつは、数千人という規模がどうも最適規模かもしれないと私は考えている。いろいろな事例を見ていると、数十万人規模を目指している地域SNSはないし、「ひょこむ」を主宰する和崎さんは「1000人を超えたころから雰囲気が変わった」と指摘している。そう考えると、自然に人が集まって話し合い、参加型で地域を経営しようとしたら、1000人~数千人くらいの規模が最適なのかもしれないと思えてくる。

市町村合併が進むと、ほとんどの自治体が数万~数十万人規模の都市になる。しかし、実際にさまざまな問題解決のためにボトムアップ的な住民のパワーを使うとするならば、自治体の下部に数千人規模くらいの小規模な地域社会をもう一度作り直していくことをしなければ、地域社会はうまくまわらないのではないだろうか。そうだとすると、数千人の新たな地域社会のコミュニティの基盤として、地域SNSや地域ブログ等のサービス・ポータルサイトとはまだまだ発展の可能性があるのかもしれないと思った。

こういう議論と最近よく聞く「ソーシャルグラフ」の話を結びつけたら面白い研究になるだろうなぁ。

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「地域・社会」カテゴリの記事

コメント

初投稿。。

1992-1999、米国におりました。わかる気がします。Borough Hall(日本で言う市役所?町役場?)にいくと5日空いていても午前のみしか空いてなかったり、一部の窓口は週2回の時間限定であったり。たとえば市運営のプールに行くにも、週2回で時間限定のあいだに申し込まないと入れないわけで、、でも裁判所は中学生の私でも入れたりしましたが、、Qualityの高い自治体を求めるのもわかる気がします。

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