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2007.10.17

創造的な文化の発展のために

創造的な著作物がたくさん作られ、多くの人に楽しまれ、そしてさらに創造的な作品が生まれるという循環を広げるためにはどうすればいいのか。これはとても難しい問題だ。

この問題に関連して私は、いま文化庁などが進めている著作権保護の強化に反対している。例えば3年前に↓のような文章を書いて意見を表明してきた。

■訴訟の恐れを抱かずに音楽を聞きたい
http://www.glocom.ac.jp/j/publications/2004/10/post_11.html

政府での検討は進んでいて、いよいよ著作権法改正案の国会提出が近づいてきた。それに先立ち、文部科学省の文化審議会が意見募集(パブリックコメント)を始めた。

■「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BI…

今回の意見募集は、著作権者が許諾していない音楽コンテンツ等の「ダウンロード」を違法とするという議論と、iPodなどの機器に補償金を課金するという議論などが焦点になっている。ユーザーの立場からは権利者の保護が強すぎるという反対意見が多いのだけれども、権利者団体の代表者が多い審議会では権利者中心に議論が進んでいる。したがってユーザーが意見を表明する機会である今回の意見募集では、この問題は火を噴くのではないかと思う。

詳細は、

■「無許諾コンテンツのダウンロードは違法」が大勢・文化審議会小委が中間報告(日経新聞)
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbf00002…

■私的録音録画小委員会の議論がほぼ決着しました(津田大介氏)
http://xtc.bz/index.php?ID=474

を参照するのをお勧めしたい。まとめると、著作権者が複製を認めていないコンテンツをダウンロードした場合、刑事罰はないものの「違法」となり、民事訴訟の対象にはなるようになる。日本レコード協会は、訴える可能性はあると言っている。もちろん違法なコンテンツをダウンロードしなければいい訳だけれども、 JASRACのような強力な実行部隊がいる中でそのような制度が導入されると、インターネットの利用や音楽を楽しむという行為にかなりの萎縮効果が起こるのではないかと思う。

またiPodのような録音機器に新たに録音録画補償金を課そうというのは、きちんと著作権使用料を払った音楽を楽しんでいる人には二重取りになり、著作権の無い音楽を楽しんでいる人にとっては取られ損になる。ただし、コピーや再生を細かくコントロールして課金する技術(DRM)を導入されるよりはましだ、ということでこの課金については「やむなし」という議論もあり、私もいまのところそう思っている。

それから今回の意見募集の対象外だけれども、著作権の保護期間を著作者の死後50年から70年に延長しようという議論もあり、じつはこれが著作権法関連の最大の論点になっている。

■文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会傍聴記
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20070905

■著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
http://thinkcopyright.org/index.html

誤った法律はいつでも改正すればいいのだが、実際は権利の保護を一度認めてしまうと、後でその権利を取り消すのは難しくなる。だからこそ、この議論は慎重に考えるべきだし、安易に既得権者の保護に流されるべきではないと思う。創造的な文化の発展のためには何がいいのか、よくよく考えるべきだ。

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