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2004年11月

2004.11.29

中央省庁の情報システム開発

Yahoo!ニュース - 社会 - 読売新聞によると、社会保険庁の情報システム開発で、契約外の業務について「同庁が作業内容を確認せず、業者側から言われるままに106億円の公費を支出していたことが、同庁のIT(情報技術)調達に関する「刷新可能性調査」でわかった」。

個別事例としても興味深いが、最近IT調達について調査研究(地方自治体についてだけど)しているのに、「刷新可能性調査」をチェックすることを忘れていた。いくつか簡単に目を通してみたが、これは中央省庁でレガシーシステムがどのように開発され、運用されてきたかについて知るにはとても使える資料だと思った。

2004.11.26

黒電話を発見!

041126_1843.jpg
明日からのICPC(情報通信政策研究会議)に備えて、プログラム委員組は逗子の松汀園という旅館に泊っています。もともと牧野源二郎という銀行家の別荘だった建物だったそうで、ちょっと古いですが和風の部屋でいい感じです。そこになんと黒電話を発見!

2004.11.22

創発民主制

ちょっと間が空いてしまったが、公文俊平『情報社会学序説』の一項「イトーの唱える創発民主制」を基に少し考えてみたい。

ジョイ・イトー氏が「Emergent Democracy」を著し、公文先生が日本語訳(「創発民主制(PDF)」)したのは2003年春、もう2年近く前のことだ。イトー氏はGLOCOMを訪問して力の込もったプレゼンをし、研究員の関心も高かったと記憶している。だが、正直言って僕はその時、彼の議論の重要性をよく分かっていなかった。もちろんブログの存在は知っていたが、日本の2ちゃんねるや日記サイトの方に関心が向いていたので、トラックバックやRSSの意義などについては理解していなかったと思う。また、Wikiを使ったことはあったが入力規則が面倒くさいと思って過小評価していた。

しかし、いま改めて「創発民主制」を読んでみると、古びてしまった話題はほとんど無くて、いま僕が関心を強めている情報技術と政治の関係についての論点が、いくつもここに著されていることに気づく。

「創発民主制」のポイントは、ネット上での協働作業による知識生産だ。「情報社会学序説」では、こんなことが書かれている。

この論文のユニークなところは、ジョイが仲間たちとブログ上で行った侃々諤々の議論を、彼がまとめていることだ。つまりそれはインターネットを使った一種の共働著作なのである。ジョイにいわせると、この論文は、いまでこそ筆者がジョイの個人名になっているが、いずれはもっとさまざまな人びとの手がはいって、さらに大きく書き換えられていくだろう。そうなると、「それはボクが書いた論文ではなくて、ボクが着手(initiate)した論文と呼びたい」と彼はいう。「情報社会学序説」
ブログの技術が、読者からのフィードバックを可能にしたり、グループが共有するウェブページをメンバーが用意に作成・編集できるようにしたり、ブログ相互間のリンク貼りや他人が自分に対して張っているリンクの発見や分析を支援したりする、各種の付加的なツールと併用されるようになった結果、突如として自己組織的に急速に普及し始めたことに注目している。「情報社会学序説」
さまざまな道具の発展によって、共働で知識生産をする人々の間に何らかの秩序や現象が「創発」してくる、という認識は、この論文が書かれた後の日本でも広がってきている。木村剛氏のブログのように双方向性が高いブログが盛上がったことや、「電車男」のような作品や韓国のOhmyNewsのような強い影響力が生まれたこと、あるいは著作物を共有財として公開し他者が手を加えて新たな著作物にしていくクリエイティブコモンズなどは、その例である。

そしてイトー達は、知的財産保護の行き過ぎによるイノベーションの逼塞や、政府やマスメディアによるプライバシー侵害など、現在の民主制は腐敗や制度疲労に陥っていると考え、新たな共働著作活動が、新しい民主制の創発に結びつくと説明している(だから「創発民主制」)。

ジョイたちが持っている問題意識は次のようなものだ。(略)これらの技術を賢明かつ効果的に利用するならば「権力が企業や政府に集中した結果として腐敗してしまった民主制が、本来もっていた基本的属性を支援するような」新しい政治モデルの構築が可能になるだろう。つまり、今日の代表民主制とは異なる新しい民主制―「直接民主制」―を「創発」させることが可能になるだろうというのである。「情報社会学序説」
一枚岩的なメディアとそれが行っているますます単純化された世界描写は、合意の達成に必要とされるアイデア間の競争を提供できない。創発民主制は、極度に複雑化した世界でわれわれが直面している諸問題の多くを、国家的規模でもグローバルな規模でも解決しうる可能性を秘めている。「創発民主制」

共働著作から何がしかの秩序が創発することは分かる。そしてそれはとても興味深いことだ。だが、それと新しい「民主制」の創発を結びつけるところで、議論が少し飛躍しているというか、分かりにくい印象を受けないだろうか。2年前から僕はそう思っている。

具体的に現在の民主制がどう変わるのか、ということについてはいくつかのヒントが紹介されている。「公衆が体制側をモニターして新しいレベルの透明性を提供するスーベイランス(下からの監視)」や「声なき世論を調査・増幅し、在来の間接民主制的な手法をバイパスして政治家に直接届ける活動」、また「小集団での討議と科学的なランダム・サンプリングと結合することで、参加者の理解の質と深さを高め、母集団全体の中での現実の意見分布を反映しようとする「審議型世論調査」」などだ。

だがこれでもまだ僕には、あたらしい民主制度の像を認識することは難しい。この説明ではまだ、せいぜい政府やマスメディアのあり方に一石を投じる程度のインパクトしか与えていない気がするのだ。つまりイトーの議論は協働や創発に着目した点できわめて新しく刺激的だけれども、「この論文で革命を起す」と言った割には何が生まれてくるのかという説明が足りない。新たな民主制の原則や、大まかな全体像が提示されるのかと期待して読むとちょっとがっかりしてしまう。

それから彼らの議論には、討論民主主義というか、理性への期待のような色眼鏡が強くかかっているように見える。自然発生的で自己組織的な創発現象を、穏当で理想的な方向へ結びつけようとしている印象を受けるのだ。

じゃあ、民主制度はどうなるのか。ここから先は僕自身の研究課題でもあるから、自分で考えていこうと思うが、石橋さんが書いた短編小説「政策系短編未来小説 昔はよかった」が、政策の創発について興味深い未来像を示していてヒントになると思っている(この小説については機会を改めて書きたい)。

公文先生の「創発民主制」に対する評価は次のようなものだ。

こうした積極的な行為は、まことにすばらしいと思う。しかし、上にあげたような各種の積極的な行為、とりわけ「選挙された代表に影響をおよぼすという在来的な手法をバイパス」した行為は、直接民主主義的ではあるかもしれないが、既存の代表民主制にとって代わる新しい政治システムとしての「直接民主制」の例とまでいえるのかと考えると、いささか首を傾げざるをえない。「情報社会学序説」

それは、共働著作による知的生産活動をどのように行うかは、企業の生産行為や商行為と同じように、政府の指示を受けて行う性質のものではなく、自分の責任で自由に決定し実行する行為だからだ、という。公文先生がこの本の後の方で述べていくような、国家による勢力争い(威のゲーム)や企業による商業活動(富のゲーム)と並べて知的な人々による評判や説得力の獲得争い(智のゲーム)が起きているという前提に立つと、イトーの議論は、民主政治のあり方というよりも、智のゲームの仕方についてのイノベーションや、ゲームを行う場のルール形成に示唆を与えたと評価した方がいいと思う。

なお、この項は次のように締めくくられている。

これからの情報かは、いってみれば「智民革命」とでも呼ぶことができる政治変革の過程を通じて、もはや「民主主義」という観念そのものを超えるような新しい分散的な社会運営システムを、成熟局面に達した近代社会にもたらすことになるのではあるまいか。そうだとすれば、今日のわれわれが直面している社会変化は、「創発民主制」というよりは「創発革命」と呼ぶことがはるかにふさわしい、広くかつ深いものになると期待してよいのかもしれない。「情報社会学序説」
大胆というかワクワクするような文章である。

※最近あるところで、「『創発』という言葉に過大な期待をしている人が多い」という批判を聞いた。東浩紀さんも「波状言論」で「「スマートモブズ」や創発民主主義への信仰」があると指摘して、「そのような欲望の地平を作り出したのは何なのか、きちんと自己相対化して言説化しておくこと」が必要だということを述べていた。この指摘は胸に留めておきたいと思う。

2004.11.20

幸福な日

04-12-30_08-26浦和レッズ優勝のその瞬間を、恵比寿のサッカーパブで迎えました。試合に負けたので、試合直後は山田の「微妙、、、、」というコメントのように複雑な心境でしたが、次第にじわじわと幸福感が溢れてきました。この日を待っていてよかった、と本当に思えました。

写真は、サッカーパブのテレビ。天井から下がっている小さいテレビで見ました。

2004.11.18

駅伝大会とRFID

先日、昭和記念公園で開催された駅伝の大会に出場した。
練習していなかったのできつかったが、無事に5キロ走れた。

ところで以前、このブログで書いた「ランナーズ」のRCチップが少し進化していたのでここに書いておこうと思う。

今回は、シューズに結びつけるのではなく、配布されるナンバーカード(ゼッケン)にRFIDタグがくっついていたのだった。「ランナーズ・トルソー・タグ」というらしい。これまでのRCチップは電池が内蔵されていないパッシブタイプだったが、今回のトルソー・タグは電池が内蔵されているアクティブタグであった。

詳しいことはここに載っている。
http://www.runnet.co.jp/PressRelease/2003/0716/いろいろ考えたが、それはあとでここに書きます。

政策空間vol18出てます

政策空間のvol.18を発行しました。
(11日に発行したのにブログで告知するのが遅れてしまいました)

個人的に興味深かったのは

ワシントンDCから「日本」「政策」「教育」を考える
◎丸楠 恭一 (ジョンズホプキンズ 大学高等国際問題大学院客員研究員)
「少子化対策」とは何であるべきか
◎荻田竜史(みずほ情報総研・社会経済研究部 主事研究員)
非営利組織の増加と日本社会の変化
◎土屋大洋(慶應義塾大学総合政策学部 助教授)

の三本です。

2004.11.15

新潟中越地震からの復興を願って

以前、仕事を手伝ってもらっていた今村修一郎君たち、慶応SFCの学生が新潟中越地震復興支援イベントSMILEを開催する。

実際はいろいろと苦労してるのだろうが、サイトを見ている限りでは、ぱっと演奏者を集め、市や大学の協力をとりつけ、準備は順調に進んでいる。

被害の状況を見たときに、被災した人々の力になりたい、と思うだけではなく、実際に仲間を募り、行動を起していること、そしてその気持ちを持ち続けていられることが立派だと思う。ぜひ成功して欲しい。

僕自身はこの日に別の用事があり主催者側なので参加はちょっと難しいかもしれない。とりあえず僕が今できること、としてこのブログで宣伝をすることにした次第である。

著作物は必ず最初から最後まで飛ばさずに楽しみましょう

朝日新聞の記事によると、日本民間放送連盟の日枝久会長が記者会見で、「DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することは、著作権法に違反する可能性もある」と発言したそうです。

著作物は必ず最初から最後まで飛ばさずに楽しみましょう、、、ということか。

つまり音楽のクライマックスだけ聞いてはいけない、本を途中から読んではいけない、ということですか。へー、そりゃ知らなかった。じゃあ私は著作権法に違反した可能性があります。

詳しくは例えば、スラッシュドット ジャパン | 放送された番組のCMカットは著作権法違反と主張する人の反応などをご参照あれ。

2004.11.08

今後のアメリカの情報通信政策

、、、っていうほど大げさなことを書きたい訳ではない。ただ、アメリカ大統領選挙が終わって、政治とインターネットの関係について何か書こうと思っているのにまとまらないので、とりあえず情報通信政策について一言だけ書いておこうかなと思う。

レッシグ教授のブログCNET Japan Blog - Lessig Blog (JP):アメリカ――世界一の技術先進国で紹介しているように、アメリカのブロードバンド化は世界13位で、ここ数年は意外と進んでいない。通信関連企業も不調が続いている。これまでブッシュ政権は、クリントン政権に比べて情報通信政策(特に情報通信ベンチャー企業の育成)にそれほど熱心ではなかったという評判だ。

今回の選挙戦では、ブッシュ大統領もブロードバンド普及のために税制上の優遇などを行うと発言してきた。だが、具体的な内容や実際にどれだけの重点を置くのか、といったことはまだよく分からない。

参考:ブッシュ対ケリー、IT政策はどう違う?(ITmedia)
参考:ブッシュ、ケリー両大統領候補、IT関連政策についての考えを明らかに(CNET)
参考:ブッシュ大統領の選挙用サイト(日本からはアクセスできない)

私自身の関連では、これまでもブッシュ政権は「本土防衛」や「テロとの戦争」に用いる監視追跡技術などの開発や実装に熱心であった。おそらくこの分野は今後もアメリカがリードしていくのではないかと思われる。

2004.11.06

懐かしい星新一の世界

Yahoo!動画 - きまぐれロボット特集というのが始まっている。

協賛しているグリコのCMを1本見れば星新一のSFショートショートを1本2分くらいのアニメにした作品を見ることができる。ちょっとワクワクして、そして最後にはクスッと笑ったり、ほぉーっと納得したりする、星作品の魅力がこのアニメでも表現されていると思う。

小学生のころに夢中になって読んでいた、懐かしい星新一の世界に再び触れることができてちょっと幸せである。

2004.11.05

今年は赤

六本木ヒルズのイルミネーションが始まった。けやき坂は去年と同じ「青白」だが、66広場の方は赤いツリーだった。

被災地ラジオ局の多言語化支援

GLOCOMのお知らせより。

FMわぃわぃ 地震と台風の被災地のラジオ局に多言語情報支援を開始
ウェッブでの番組音源の提供に、国際大学GLOCOMも協力いたします。

 多言語コミュニティ放送局・エフエムわいわいが神戸市新潟県中越地震と台風23号の被災地の外国人被災者に、災害情報を母語で届ける支援活動を、被災地のコミュニティ放送局と協力してスタートさせました。

 新潟の被災地には留学や企業研修などで長岡市や小千谷市などに2000人を超える外国人がいます。彼らの前には「言葉の壁」が立ちはだかり、大切な情報が得られません。これらの状況に対応し、神戸市のコミュニティ放送局・エフエムわいわいが、被災地のエフエムながおか(臨時災害対策用FM放送局となり出力2.5倍にアップ)から災害情報をFAXで受け取り、それをたかとりコミュニティセンターのメンバーが翻訳、音声化。インターネットで音源を返信し、被災地で放送する という活動を開始しています。

 エフエムわぃわぃはまた、台風23号による豊岡のFMジャングルにも、兵庫県内の外国人相談窓口の案内の音声(多言語)を届け放送しています。

 国際大学本部のある浦佐の被災状況なども考慮し、エフエムわぃわぃがウェッブで行っている音源提供に協力し、国際大学GLOCOMのウェッブも活用いただくことにいたしました。

災害用FM放送局向け、多言語素材(新潟県十日町市向け)
http://www.tcc117.org/fmyy/tokamachi/index.html
災害用FM放送局向け、多言語素材(新潟県長岡市向け)
http://www.tcc117.org/fmyy/nagaoka/index.html
GLOCOMの音源提供場所
http://www.glocom.jp/support/data/

 エフエムわぃわぃは、阪神淡路大震災直後誕生した韓国語のミニFM局「FMボセヨ」、ベトナム語のミニFM局「FMユーメン」などを母体に神戸市長田区に誕生。定住外国人向けのコミュニティFM局として認可され、現在、8つの言語で放送を行っています。

 さらに外国人被災者が確実に情報を得られるように携帯ラジオを届ける活動も準備されていますラジオに周波数と外国語の放送時間を記したシールを貼って、被災地に届けます。

 携帯ラジオをFMわぃわぃまで送ってください。可能ならばイヤホン、交換用電池(単3または単4電池)もなどもお願いいたします。(11月30日まで受付)

宛先
〒653-0052
神戸市長田区海運町3-3-8
FMわぃわぃ「被災地支援係」

2004.11.01

さいたまレイナス初優勝!

浦和レッズより一足早く、サッカーLリーグ(なでしこリーグ)で「さいたまレイナス」が初優勝した。うれしい。

記事:さいたま、悲願の初優勝 高槻に5-1 安藤が初の得点王 Lリーグ

午後7時。OLやフリーターなど多種多様な仕事を終えた選手が、毎日違う練習場にやって来る。照明の暗い小中高校のグラウンド。
と記事にあるとおり、うちの高校のグランドでも僕ら(陸上部)の練習が終わった後に彼女らがやってきて練習していた。みんなリフティングがとてもうまくて、なんだかちょっと悔しかったのを思い出した。

今年はレッズも好調で、浦和あたりのサッカーファンはたまらないだろうな。あとは高校サッカーにも期待したい。