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2004.08.02

FTA交渉と看護師

フィリピンやアジア諸国とのFTA交渉で、看護・介護分野での労働市場開放が話題となっている。

参考
アジア出稼ぎ最前線/NNA: Global Communities

(最近の労働情報)日本とのFTA交渉:「看護、介護分野の労働市場の開放」を求める

対東アジアFTA交渉 外国人労働者どう受け入れる?

この政策によって、適切な能力を持った看護師が増え、地方の看護師不足が解消されるというのであれば、政策目的は悪くない。(この政策を全国的に実施すると、結局、都市部に人材が集中してしまうかもしれないが、、、、)

だが、このフィリピン政府の「労働者輸出(日本から見れば「外国人労働者受け入れ」)」という政策の推進は注意が必要だ。

第一次・第二次産業の産品ではなく、サービス産業の担い手を輸出するのだ、といえば聞こえはいいが、相手国の人々よりもフィリピン人の賃金が安いという前提があるからこそこの政策が成り立っている。外国人労働者が、日本人が嫌がること(低賃金、地方勤務など)をしてくれるのではないか、という期待が透けて見える。そして、単純に労働市場の開放をしてしまうと、安価な労働力として輸入された海外労働者が就労先で不当に劣悪な労働条件や虐待に苦しむ、、、といった類の問題が起きる可能性は高い。

フィリピン政府はその様な自体を防ぐために、「移住労働者と海外フィリピン人に関する95年法」で「経済成長の維持と国家開発の手段として海外雇用を促進することはしない」と明言して熟練労働者・専門職の輸出に重点を移している。日本政府が専門職・高度人材に受け入れを絞っているのにも、その様な理由がある。

今回のFTA交渉では、看護師資格取得の要件緩和や日本語能力の要件緩和が話題になっているが、能力要件を低くするほど低賃金になり、労働条件も悪くなるのだから、これは緩和しすぎてはいけないだろう。

そういう意味では、当事者となる日本看護協会が受け入れを容認する条件として

(1)日本の国家試験に合格
(2)安全に看護できる日本語能力の習得
(3)日本人と同じ待遇

という三つを示したというのは大変もっともだと思う。

それにしても、フィリピンは

アロヨ政権が、海外労働者のもたらす経済効果を認め、特に専門職種の労働市場の確保に積極的な海外雇用政策を展開してきた。(略)こうした専門職の賃金は他の職種に比べ高く、彼らからの送金は、低迷が続く国内経済を支え、「最大の輸出品が労働力」とまで言われている。今回の日本とのFTA交渉でも、フィリピンは外貨獲得のため労働市場の開放、特に看護師・介護士の受入れを求めている。

フィリピンの看護師は、全体のおよそ85%が海外で働いており、国内の看護師不足が問題になるほどである。

(最近の労働情報)日本とのFTA交渉:「看護、介護分野の労働市場の開放」を求める

という状況だ。看護師が余っている国からの受け入れならともかく、看護師不足が問題になっている国から受け入れる、というのではあちらの国内の問題を解決していない。この政策の推進には戸惑いを覚える。

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